『いい加減に卒業したらどう?』
そう言ったお前の言葉は正しい…。


「シゲっ!」
呼んでも届かない。
叫んでも届かない。
「何やの?」
届いたとしても跳ね返ってくる。
より鋭い言葉となって…。
「用が無いんやったら呼び止めんといて」
「っ…悪い」
言いたい事は沢山ある。
伝えたい気持ちだってある。
シゲが好きだ…。
お前がまだ好きなんだ。


「たつぼん別れよ」
「え…」
「ほなな」
いつの事だったっけ?
つい最近だった気もするし…かなり前だった気もする。
俺は突然の事で頭が真っ白になった。
ただ分かったのは…シゲに捨てられたと言うことだけ。

何が原因かだなんて分からない。
きっとお前は教えてもくれないだろうし。
なぁ、俺はただお前が好きなだけだっんだ。
それだけじゃダメだったのか?

シゲ…好きだよ。
好きなんだ…。
お前無しじゃダメなのにお前は目すら合わせない。
皆の前じゃいつも通りだけど…。
別れようだけじゃ分からないよ。
嫌いになった?
なぁ、シゲっ…。


「まだあいつの事好き?」
「………」
「あ、そう…」
「んだよ…」
お前には関係ない。
目でそう訴える。
「水野さ、卒業したら?」
「何を……」
「それくらい自分で分かるでしょ?」
「分かんねぇよ!」
お前が何を知ってる。
俺とシゲの関係も知らないで!俺の気持ちも知らないで…。
「水野、唇噛まない…後つくでしょ」
手が…指が伸びてきて俺の唇に触れる。
その指は思っていたより温かくて…。
「ねぇ、泣いたら?」
「…バーカ」
泣ける場所も、抱きとめてくれるその腕も失った。
「胸なら貸してあげるけど?」
「要らねぇよ…」
「遠慮しなくて良いけど?」
「してねぇよ」
「……ほら」
引き寄せられた腕の中は妙に温かくて…。
「郭ってお節介…」
「そう?だったらそのお節介で卒業出来るかも知れないね」
「……ありがとう」
その言葉は聞こえたか分からないけど…。
ただその温もりに今は甘えていたかった。







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2006.4.25

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