ちょっと、どうなのよ!
コイツ私より綺麗何じゃないの?



気にしだしたのは、私がサッカー部のマネージャーになってから。
それまでは存在は知っていたけど特に興味は無かった。
女の子にモテる嫌な奴、そんなイメージしかなかった。
事実そうだと思っていたし。
それにサッカーが出来て羨ましい、そんな妬みとかも少しあったかも知れない。
ちゃんとサッカーしてる姿を見て実感した。
上手い、そうただそれだけ。
一目見てそう思った。
もしかして、その瞬間に彼のサッカーに恋をしてしまったのかも知れない。
風祭とは違う、別の魅力に。



水野と席が隣になった。
「小島か、宜しくな」
「宜しくー」
珍しく微笑んで挨拶してくる水野に迂闊にも胸がドキリとしてしまった。
周りからガタガタと椅子を引きずる音が聞こえる。
段々と静かになって行く教室。
静まった頃には授業が始まり出す。



暇。
いや、授業中だってのは私だって分かってるのよ。
でも、暇じゃない?
天気も良いし、出来るならサッカーがしたい。
多分隣のサッカー小僧もそう思っているに違いないだろう、そう思い静かに横を向く。
ノートに綺麗な文字が書かれていくのが目に入る。
黒板、ノート、移り変わる度に髪の毛がサラリと動く。
光を反射し、髪の毛が時々眩しく光。
サッカーをしている時もそうだが、真剣な水野の顔に目を奪われる。
女子がキャーキャー騒ぐ訳だ。
男の癖に物凄く綺麗な顔をしている。
「どうかしたか?」
私の視線に気付いたのか、小さな声で話しかけてくる。
「別に」
「……そうか?」
そう言ってまた黒板に視線を戻す。
表情が変わる訳でも無いのに、こんなにも目を奪われるのはどうしてだろう。
だが綺麗なだけだったら直ぐに飽きる。
理由が分からないまま、私は水野をずっと見ていた。




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2007.6.1


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