君は誰のモノ?
「何でアンタがいるの?」
普段無表情な郭が思いっきり嫌そうな顔をして目の前の人間にそう言った。
目の前の人間、藤村成樹は笑ってこう言った。
「何でって、タツボンに会いに来たんやけど?」
「・・・・・・・」
あまりにも堂々としていたので少し黙ってしまう。
だが目だけは彼を睨んでいた。
2人の間で火花が飛ぶ。
周りから『またかよ!?』という声が聞こえたり、あまりの怖さで逃げていく奴もいたが気にする必要は無い。
「水野は俺のだよ」
「何言うてんねん!!タツボンは俺のや!」
お互い一歩も譲らず。
周りのことなど気にせず2人の水野へ対する愛の争いは続く。
その場にいた一同は思っていた。
『怖い!!』と。
いつもクールで無表情な郭が冷笑を浮かべ嫌味を言っている。
もし、それが自分に向けられて発されたものであったのなら間違いなく胃が痛くなり・・・この場には居られないであろう。
だが、その嫌味を向けられている藤村、通称シゲは平気な顔をして水野への愛を語っている。
・・・・・・・神経の図太さ恐るべし。
「いい加減にしないと怒るよ」
「それはこっちのセリフや!!俺とタツボンの愛の妨害しよってからに!」
「へぇ・・・」
ブリザードが吹き荒れる。
その場に居た誰もが『水野!!』と思った時だった。
「・・・何やってんだよ」
不機嫌な声がその場に響いた。
「水野・・・」 「タツボン!!」
2人が同時にその声の主の名を呼んだ。
勿論その場に居た全員が心の底から『水野ー!!』と叫んだのは間違えの無い事実だった。
「おい、シゲ何しに来たんだ?」
まだ不機嫌な感じを漂わせながら2人に近づいて行く。
「何って、タツボンに会いに来たに決まっとるやん」
今にも飛びつかん勢いだったが郭に服をつかまれ抱きつくに抱き付けれない。
「何しよんねん!」
「別に」
また言い争いをし始める2人にとうとう水野が痺れを切らした。
「いい加減にしろよ!!」
その声にビクッと反応し急に大人しくなる2人だったが、
水野はまだ言い足りないといった感じで続けた。
「シゲ!お前は違う選抜だろ?」
実はまだシゲが黙って関西選抜に入った事を根に持っている水野。
「それに郭!お前わざわざこんな奴の相手する事ないだろ?」
「そうだね」
即答する郭。
水野のあまりにも酷い言い方で傷ついたシゲは少しいじけていた。
「タツボン!酷っ!俺こんなにもタツボンのこと好きやのに!」
郭につかまれていた服はもう放されておりシゲは今や!と思い水野に抱きついた。
「・・・・タツボン」
耳元で低く甘い声でをシゲがだす。
「ちょっ!放せ!シゲっ!!」
顔を赤くしながらも必死でシゲから離れようとする。
「駄目や、放さへんよ」
ぎゅ〜っという音が今にもしそうなほど強く、強く抱きしめる。
「・・・・・放なしなよ」
見ていられなくなった郭が口を挟む。
「嫌や言うてるやろ!」
その言葉に郭の眉がぴくりと動く。
「へぇ〜、じゃ、俺も抱きつこうかな・・・」
有言実行。
いや、言い終わる前に郭は行動に出た。
「ちょっ、郭!!」
その郭の行動の結果・・・水野はサンドイッチでいう具の状態になっていた。
前には郭、後ろにはシゲ。
「・・・・・・・・・放せよっ!!」
本気で恥ずかしがっている水野をよそにとうの本人たちは抱き心地を堪能してつつこんな会話をしていた。
「あー、気持ちええわvVタツボンの髪」
「・・・・本当、抱き心地も良いしね」
「おい、郭!」
「何・・・?」
「タツボンに抱き寄せられてるみたいでムカつくわ!・・・いや、ちゅーか・・・普通に羨ましいわ」
「そうでしょ?まぁ、おれとしても背中ってのもオイシイと思うけどね」
「あ、それは激しく同意や!」
水野を無視して好き勝手に話している2人。
本気で水野はこの状態に我慢出来なくなっていた。
水野は意を決して思わぬ行動に出た。
「・・・・んっ・・・あ、やめろっ!!」
弱々しい声で喘ぎ始めた。
その突然の出来事でシゲ、郭も含む周りがフリーズした。
その隙を狙い水野は2人を振り払った。
「「なっ!?」」
(はー、やっと離れた・・・にしても恥ずかしすぎる)
そう、実はあの喘ぎ声は水野の演技であった。
なぜ水野がそんな事を出来たかというのは・・・秘密であるが。
演技だと分かっていても周りはまだフリーズしたままだった。
(タツボン・・・何処で習って来たん!?)
(・・・・水野)
そのフリーズ状態からいち早く抜け出したのはシゲと郭だった。
「水野!何処行くの!」
その言葉にビクッと体を強張らさせつつも、郭たちの法に向き直りこう言った。
「俺、人と会う約束してるから!またな!」
そう言い終わった瞬間に水野は走り出した。
「ちょっ!タツボン!」
シゲの声は届かず、水野は段々と小さくなっていった。
「タツボン・・・・」
2人はその場に空しく座り込んだ。
その頃水野というと・・・・
「はぁ・・・・何だよ、あの2人・・・・」
1人愚痴っていた。
「・・・って、それよりアイツ待ってるかな?・・・時間過ぎてるけど・・・・」
知らず知らずのうちに駆け足になる。
「遅せぇぞ・・・」
その人物は悪態をつきながらも待っていた。
「ご・・・ごめん・・・」
走ってきた所為か少し息が上がる。
「走って来たのか?」
「そうだよ!!」
いつもの癖で棘のある返事をしてしまい、しまったと思いつつ顔をゆっくり上げる。
「俺にそんなに会いたかったんだな。み・ず・の・く・ん」
「違っ!!・・・・って止めろよ三上!!」
「嫌だね、せっかく水野が近くにいるんだから・・・堪能しなきゃ損じゃねぇか」
「・・・・人目が無い所だけだぜ」
「はいはい・・・分かりましたよお坊ちゃん」
何だかんだでラブラブなこの2人。
だが、水野の受難はまだまだ続く・・・・。
終わっとけ!
サイトを作るに当たって一番最初に書いた作品・・・。
何が書きたかったんだろうね・・・。
取り合えず奪い合いで、オチは三上っていう。
あ、因みに・・・あの演技は三上が伝授しました(まて)
君は誰のモノ?答えは三上のモノー!!(をい)
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