君との距離






先日、俺は19になった。

10代最後とか・・・そんな気持ちは別に無い。

ただ・・・お前との距離が一歩でも縮まればって思ってた。

 

 

 

「おはようさん、タツボン」

「はよ」

目の前にいるのは藤村成樹ことシゲ。

結構色々あったが、長い付き合いをしている。

そして、俺の想い人でもあったりする。

一方通行だけど・・・。

「何?タツボン俺に見惚れとんの?シゲちゃん恥ずかしいわ〜」

「バーカ」

基本的な性格は昔と変わっていない。

変わったといえば、髪の長さと身長くらいだろうか。

 

 

シゲの隣を歩く。

喋りかけてくるシゲに軽く相槌をする。

俺はそっとシゲの顔を覗く。

時々ふっと大人の顔をする。

昔も確かに見た表情。

でも、今の方がさらに大人で・・・

でも、俺はどうだ?

昔からお前は俺の前を歩いて行く。

ついていくのがやっとだ・・・

せめて年だけでも・・・って思うけど俺より年上だし。

8月〜11月までは2つも離れるし・・・。

今は、19と20だけど・・・。

それだけで何か遠い気がするんだ。

なぁ、シゲ・・どうすれば良い?いつもそう思う。

でも、変わらなきゃ駄目なんだって思う。

お前も風祭も皆変わっていく。

俺はただ悩んで、また悩んでの繰り返しだ。

「タツボン、ほんま大丈夫なん?」

俺が沈みかけているのに気がついたシゲは声を掛ける。

「大丈夫だ」

愛想無く簡潔に答える。

「嘘吐き」

その言葉に心の中のどこかがズキンとした。

「タツボン昔から嘘つくの下手やったから分かるねん。お兄さんに言うてみ?」

年上面するなよ。

口には出して言えない言葉を思いっきり心の中で言う。

「ほら、言うてみ」

 

心の底から思う。

 

変わりたい。

 

昔、何かで読んだか聞いたか忘れたけど、

『変わりたいなら行動する』そんな言葉が思い浮かんだ。

「タツボン?ほんまどないしたん?」

心配そうな声で聞くシゲ。

また心の中のどこかでズキンとした。

 

考えるより先に体が動いていた。

 

シゲの唇を俺の唇が掠める。

それはまるで風のように、

珍しいシゲの固まった様子が見られた。

その可笑しさに自然と笑った。

 

「お前のこと好きだったよ」

 

そう言うと俺は走った。

恥ずかしいとか、そういう事じゃなくて・・・

ただお前に悩む時間をやりたかったんだ。

俺がずっと悩んでた時間を。

 

 

 

あまりの突然のことで思わずしゃがむ。

赤くなった顔を手で隠しながら。

「あの坊、予想外のことしよって・・・」

誰にも聞こえないような声で呟く。

水野の走り去った方を見て、

「好きだった・・ちゅーことは過去形なん?」

自問自答してみる。

だが、答えは出るはずも無く。

「まぁええわ・・・俺に自覚させた罪は重いで・・覚悟しとき・・」

そう言い終るとシゲは水野の去った方へ走り出した。

 

 

昔、ふざけて言ったあの言葉、

『俺タツボンのこと好きやで』

実は少し本気やったんやで・・気付いとった?

 

 

『バーカ』

って言いながら本当は『俺もだ』って言いたかった。

 

 

 

なぁ、シゲ俺たちの距離ってどのくらいだ?

 

 

そんなん決まっとるやん、あと一歩や。





END







水野は今19歳という事で、書いてみました。
何が言いたかったかは正直自分自身でも不明です。
ただシゲとの距離を感じている水野を書きたかっただけなのかも。
因みに最後の「あと一歩」というのは・・・
シゲ追いついたんですよ。水野に。
私の勝手な妄想ですけど(笑)
で、その距離があと一歩、という事です。




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