unusually





すれ違い、傷つけあいながらも一緒にいた。
全てが楽しい思い出だ。
何て言えるほどまだ大人になっちゃいない。
けど、あの日言われた事は忘れない。
柄にもなく照れたのをよく覚えてる。


まさかたつぼんにあないな事を言われる何て思ってもみんかったからな。


俺の誕生日やった。
珍しくたつぼんが家に来い言うたから……。
「何やの?」
誕生日なんは知っとった。ポチやらがプレゼントくれたから。
でもな、まさかたつぼんはくれるとは思わんやろ?だから吃驚してん。
「やる」
部屋に連れられ机の上に置いてあった物を乱暴に取り俺の前へと突き出す。
「へ?」
当然な反応やと思わん?やって突然やったんやもん……。
「何だよ、要らないのかよ」
「え、あ、要るに決まってんやん!」
貰うに決まっている。
まさか貰えるなんて思ってもみんかったんやから。
「あけてもええ?」
「別に良いけど返品不可だかんな」
「貰た物は返しませんてー、返せ言われても」
そう言いながら結んであった紐を解く。
「流石たつぼん趣味ええやん」
「安物だけどな」
「かめへんよ。その分たつぼんの愛…」
「バーカ」
言い終わる前に突っ込みが入る。
「せや、たつぼん付けて」
「は?」
「ええやん、はい」
そう言ってピアスを外した耳を差し出す。
「仕方ねぇな……」
たつぼんがくれたんは赤いピアスやった。
シンプルな作りらしく余分な装飾も無かった。
「ちょ、くすぐったいんやけど……」
「黙れ」
「はいはい」
たつぼんの冷たい指が耳に触れる。
その指が妙にエロく感じるのは俺が毒されているからだろうか。
「ほら」
どうやら出来たらしい。
「似合う?」
「ん」
コクリと頷く。
「ありがとーな……」
「ん」
またもコクリと頷く。
「キスしてええ?」
「バカか?」
「酷っ」
頷いてはくれず勝手にたつぼんの唇へと自分の唇を落とした。




「電気消すぞー」
「ん、ええよ」
またも珍しく泊まらないか?というお誘いにのり俺はたつぼんの部屋にいた。
しかもベッドの上で二人でゴロゴロしとったとか……どんだけバカップルやねん!
「シゲー」
「んー?」
「生まれてきてくれて有り難う……」
「へ?」
「おやすみ!」
そう言ってシーツで顔まで隠す。
ちょお待って……俺何て言われたん?
生まれてきて有り難う言われんかった?
……ちょお、堪忍して。
どんな殺し文句やねんな……。
「たつぼーん」
「水野くーん」
あかん反応せぇへん。
「竜也、好き」
これでもかってくらい甘い声出してシーツ越しに耳元で囁いた。
……顔出さへんし!
めっちゃキスしたいんやけど……。
「はぁ……反則やで」
シーツからはみ出した髪を撫でる。
まぁ、ある種助かったんかも知れんけど。
きっとたつぼんの顔は赤いんやろうな。
それと一緒に自分の顔もめっちゃ赤いんやろうな……。




「シゲ、何ぼーっとしてんだよ」
「あ、すまんかった」
目の前に居たのはあの日より大人になったたつぼん。
「全く珍しく早く来たと思えば……」
説教するのも相変わらず。
「聞いてんのか?」
「聞いてませーん」
「な!……んっ」
怒りかけたたつぼんの唇を塞ぐ。
「バ、バカか!ここ公園だぞ……」
「気にせぇへんから大丈夫」
「俺は気にするつーの!」
「はいはい」
そしてまた唇を塞ぐ。
あの日思った朝起きたらキスしてやろうという気持ちは今も健在だ。




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2006.7.8

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